天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

昼顔

江ノ島にて

 ヒルガオ科のつる性多年草。日本全土、東アジアの日当りのよい平地にはえる。花は日中に開き夕方しぼむ。


      昼顔に認めし紅の淋しさよ
                  松本たかし
      昼顔や真昼の海の鳴るばかり
                  伊藤晴子
      昼顔や玉石据えし流人墓
                  那須乙郎


  肺尖にひとつ昼顔の花燃ゆと告げんとしつつたわむ言葉は
                     岡井 隆
  昼顔のかなた炎えつつ神神の領たりし日といづれかぐはし
                     小中英之
  髪羞(やさ)し汝が挿しくれしひるがほもひかりあえかにゆふべは
  萎えぬ                河野裕子
                     

 昼顔の歌では、岡井隆の上の作品が最も有名であろう。安保闘争時、デモに参加することに虚しさを覚え、自分は患者に対して医師としての職分を尽くそうと決意を新たにしていた頃のもの。


      ひるがほのかたへに描く港かな