天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

昼顔

相模川の岸辺で

 ヒルガオ科。アサガオ同様朝開花するが昼になっても花がしぼまないことからこの名がある。つる性の多年草で、地上部は毎年枯れる。春から蔓が伸び始め、夏にかけて道ばたなどに繁茂する。万葉集には「かほがはな」、「かほばな」 として四首に詠まれている。


     昼顔や行く人絶えし野のいきれ     几菫
     昼顔のほとりによべの渚あり    石田波郷
     昼顔や捨てらるるまで櫂痩せて   福永耕二


  高円の野邊の容花(かほばな)面影に見えつつ妹は忘れ
  かねつも            万葉集大伴家持


  夜と昼のあはひ杳(はる)かに照らしつつひるがほの上に
  月はありたり
                      河野裕子


  ひるがほは火傷のやうにひらき出づこの叢にあなたは笑ふ
                      小池 光
  昼顔のかなた炎えつつ神神の領たりし日といづれかぐはし
                      小中英之
  夏空に風ひびくとき昼顔の花の色して皿に肉あり
                      恩田英明
  空に虹 地のひるがおは夏の花風化されざる古代の息吹
                      清田秀博