天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

うつぼ草

円覚寺・松嶺院にて

 シソ科の多年草。六、七月ころ茎の頂に筒型の花穂をつけ、濃紫色の唇形花を密につける。花穂は枯れると黒く変色する。「うつぼ」は矢を入れて背中に負う筒形の道具。これに似ているところからの命名というが、うつぼを見たことのある人は、稀であろうからピンとこない。枯れて花のない状態の方がうつぼをイメージしやすい。



  紫の小さな筒花むらがりて槍の穂立つる野のうつぼ草
                       窪田空穂
  路ばたの草とる人がとりのこし小砂利の中のうつぼ草の花
                       植松寿樹