天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

美容柳

二宮町吾妻山にて

 ビヨウヤナギ、未央柳とも書く。ただし、柳とは無関係。おとぎりそう科、半常緑性低木で中国原産。金糸桃ともいう。同類に金糸梅があり、一見、よく似ている。金糸梅は花びらがカップのように上を向くのに対して、美容柳は下に垂れてくる。


      未央柳雨に散りしよ旅装解く    矢野黙史


 ところで6月の短歌人・横浜歌会で提出したわが詠草がさんざん批評されたことを、6月2日のブログで書いた。悔しいので「産経新聞」の歌壇(小島ゆかり選)に投稿したところ、この日曜日になんと選に入っていて次のような評がついていた。棄てる神あれば拾う神あり、信念を持つべしと元気付けられた。


  小雨降る朝の蓮池棲む鯉は赤銅色の腹かへしたり  天野 翔

  [評]小雨の降る朝の池は静かで、池の水はいくらか雨に濁って
   いるにちがいない。蓮の清く厳かなイメージゆえに、腹を
   かえす鯉の生々しさが際立つ。「赤銅色」が一瞬見えて消える、
   鮮やかな映像。             小島ゆかり


 歌の意図が十全に鑑賞されていて、作者を感激させてくれる。