天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鳳仙花

鎌倉・光則寺にて

 東南アジア原産のツリフネソウ科の一年草。名前の由来は、中国で花を鳳凰に見立てたところから。日本には十七世紀頃に渡来したという。紅色の花の汁を絞って爪を染めたことから、爪紅(つまべに、つまぐれ、つまくれなゐ)の名がある。花の色には、紅の他に桃、白などがある。小さな果実は、熟すとわずかな刺激で弾けて種を遠くに飛ばす。



      湯の町は端より暮るる鳳仙花   川崎展宏
      鳳仙花がくれに鶏の脚あゆむ   福永耕二


  鳳仙花照らすゆふ日におのづからその実のわれて秋くれむとす
                      金子薫園
  たたかひは上海に起り居たりけり鳳仙花紅く散りゐたりけり
                      斉藤茂吉
  陽だまりに咲きのこりゐる鳳仙花ひとりならねばみるに花やぐ
                      北見志保子