鴨
ガンカモ科。淡水に棲むものに、マガモ、カルガモ、オナガガモ、トモエガモ。海に棲むものに、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ など。但し、公園の池などには混在して泳いでいるのをよく見かける。例えば、上野不忍池。冬に北から渡来し、春には北へ帰る。万葉集から多く詠まれている。新古今集には5首ある。
葦辺行く鴨の羽がひに霜降りて寒き夕べは大和し思ほゆ
万葉集・志貴皇子
ももづたふ磐余の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ
万葉集・大津皇子
水鳥のかもの浮寝のうきながら浪の枕に幾夜へぬらむ
新古今集・伊内
韃靼の海、波のうねりに揺られゐて遊べる鴨か大きうねりを
北原白秋
下りて来し鴨の一群は蒼潮の大きうねりにのりて漂ふ
川田 順
水の上に下りむとしつつ舞ひあがる鴨のみづかきくれなゐに見ゆ
古泉千樫
朝日子がのぼれる時に群鴨の一二羽のみが羽ばたきにけり
香取秀眞
寄り合ひて眠れる鴨の首さむし忍従といふとほき生き方
武下奈々子