万作
今年も鎌倉のそこここの寺の境内で、万作の花が目立つようになった。真冬ながら新年になって金色にちりちりと咲き広がる花の様子は、先行きに希望が持てるような気分にさせる。縁起のよい植物のひとつ。金縷梅ともいうマンサク科の落葉小高木で、がく片四枚の内側は暗紫色。
大寒の日は短くてマンサクのほそき花弁の縮れふかくす
春日真木子
春はやく咲きでてまんさくの花淡し小田原高長寺透谷の墓
久々湊盈子
青鷺の影ゆるがざる春日かな
舎利殿に読経ひびかふ梅の花
鐘鳴って坐禅終りぬ春の朝
池の辺に人目恐れぬ青鷺が影歩まする如月の朝
そこここに杉の梢の枯れたるがほたほた落つる東慶寺墓地
石古れど供華新しき墓あれば偲ばるるかも生前の徳
川下にあゆむコサギの白き毛を逆立てて吹く如月の風
川下にあゆむコサギの足首の黄なるがかなし如月の朝
足首の黄なるコサギが川下にしまし歩みて川上に翔つ