地中海東部沿岸地方が原産のサクラソウ科の多年草。わが国では、明治中期から栽培されはじめた鉢植の花である。冬から春にかけて蝶の形の花を咲かせる。色には白、緋紅、紫紅、鮭肉色 などがある。和名を篝火花という。俳句では春の季語である。
生き死にの手術のあとやシクラメン
石田小坡
燃ゆるてふ白のあるなりシクラメン
芳野年茂恵
かがりびさうその名を知りて何故か親しむ思ひ深くなりたり
吉田正俊
シクラメン白と赤との花並ぶ店頭すぎて歩むたのしさ
佐藤佐太郎
ボヘミヤのチェロの旋律聴き終へてシクラメン白し夜更の居間に
細川謙三
日を慕ふわが寝室のシクラメン