天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

おもだか

鎌倉・長谷寺にて。

 オモダカ科の多年草。「勝ち草」と呼ばれることもあり、戦国武将や大名家でオモダカの葉を意匠化した沢瀉紋が家紋として使用された。豊臣氏、木下氏、水野氏 などのそれである。
 余談になるが、若き日の棟方志功が、道路わきの沼にあやまって転びこんで目の前に見たオモダカの花に、「わだばゴッホになる!」と叫んだという伝説がある。

  鷺に似てひと花すいと水をぬく青藺のなかの
  おもだかの花         佐佐木信綱
                       
  五月雨に築土(ついぢ)くづれし鳥羽殿のいぬゐの
  池におもだかさきぬ      与謝野晶子
                       
  おのづから水のほとりに歩むわれ眼にことこく異国の
  オモダカの花         玉城 徹
                       
  沢瀉は水の花かもしろたへの輪生すがし雷遠くして
                 小中英之


[追伸] プロフィールに使用している写真は、過日、横浜ズーラシアで撮ったシロフクロウ「ピーピー」だが、今朝の産経新聞に死亡したとの記事が出ていた。最近の気候不順が原因らしい。この愛らしい姿を今年一杯プロフィールに掲げて冥福を祈りたい。