天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

動物園

多摩動物園にて

 世界最初のものは、オーストリア・ウィーンに1752年に開設したシェーンブルン動物園という。わが国では、周知のように1882年(明治15年)にできた上野動物園が最も古い。できるだけ自然に近い環境で飼育するという発想で作られたものに多摩動物園がある。1958年に発足した。もちろん、アフリカなどの自然保護区に比べるべくもないが。神奈川県では、横浜ズーラシアがある。昆虫の季節がきたこともあり、久しぶりに多摩動物園に出かけた。昆虫館がある。


      耳団扇サイの水浴びながながと
      フラミンゴ羽根ひろぐれば夕陽かな
      
  この国の夏に慣れたるユキヒョウは岩山蔭にねむりむさぼる
  赤や黄の花咲く苑にさまざまの蝶生れて飛ぶ蜜をもとめて
  多摩丘陵昆虫館のうす闇にひとつ聞こゆる鈴虫の声
  檻の外動物園の森に棲むアオサギかくも悪声に啼く
  たまきはる命なりけり触れ合ひの小屋に飼はるるモルモットの群
  水道の栓に前足かけて飲む麒麟は水の出所知りて
  動物園半世紀経て五世代のオランウータンの家系図はあり
  ここに生れ人に飼はれてたまきはる命を終へし動物の霊
  天翔る夢あきらめて檻に棲むイヌワシの群時に高啼く
  睾丸の引き締まりたるライオンの鬣を吹く多摩の夏風