天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

甲虫

多摩動物園にて

 コガネムシ科の甲虫。サイカチムシとも。



      ひつぱれる糸まつすぐや甲虫
               高野素十
      たたかへる匂ひはげしき甲虫
               飯島蘭風


  頭ついて逆さまに這ひゐる六月のこの甲虫が
  あはれでならぬなり     前川佐美雄      
                        
  カブト虫白糸長く翔ばせいる無残を知らぬ
  幼き声に          武川忠一
                        
  かぶと虫甕より出でておもむろにおのが値札を
  這ひのぼりゆく       伊藤雅子       
                        
  甲虫の反乱、腰に繋がれし糸もつれ合う論理の
  ごとく           岡井 隆