天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

錦秋の箱根

強羅公園から明神岳を望む

 期待して強羅に一泊した。全山紅葉とはいかなかったが、そこここに赤や黄の樹木を見ることができた。前日は、御殿場市神山にある時之栖美術館に行って前島秀章氏の彫刻を見て廻った。うらやましかったのは、楠の大木など木材が豊富に入手できる環境にあることだった。
 箱根のロープウェイは、しばらくの期間改修工事をしていたので乗っていなかった。改修後は、風速30メートルの嵐にも耐えられるようになったという。強羅、大涌谷桃源郷、箱根関所跡 といつものコースを廻ってきた。雲ひとつない秋の青空に、冠雪の富士が眺められたのは、ラッキーであった。


  行く先をいぶかる人もなかりけり空のま洞(ほら)にうかぶ白雲
  秋ふかみ鉄路に沿へるゑのころは風にふかれて赤さびにけり
  くれなゐのもみぢの上に青がすみ明星ガ岳の大の字が見ゆ
  ひむがしの山の稜線金色に染めて出でたり燃ゆる太陽
  朝焼の箱根の山に金色をよそほひて立つ秋の欅は
  山肌のところどころを黄に染めて朝日迎ふる明神ガ岳
  みどりなす大の一字が夕焼の山頂に映ゆ明星ガ岳
  かつて見しドームはあらず朝焼の雪きらめける富士の頂き