天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

強羅公園の茂吉歌碑

茂吉歌碑

 斉藤茂吉は、昭和10年以降ほぼ三十年間、夏になると箱根の強羅の山荘に暑を避けた。箱根を詠んだ歌は、千二百首を越えるらしい。なおこの山荘・童馬山房は、郷里の山形県上山市金瓶の斉藤茂吉記念館内に、昭和54年に移築されている。


  おのづから寂しくもあるかゆふぐれて雲は
  大きく渓に沈みぬ         茂吉        
                        

 歌碑の横にある説明板によると、この歌は、明神岳、明星岳を包んだ夕べの雲が足下の早川渓谷に沈み入らんとする情景を詠じたもので、荘重にして雄渾、茂吉の全作品に見られる特色である、とある。歌碑は、昭和三十年5月に建立された。字体は茂吉の自筆から写したもの。