天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ナナカマド

箱根大涌谷にて

 七竃。山地に見かけるバラ科の落葉高木。5月から7月の白色五弁の小花が咲く。10、11月になると、実は真赤に熟して群れ垂れ下がる。冬枯れの山を鮮やかに彩る。




      噴煙の空迫り来つななかまど    水原秋桜子
      雪岳が並びをり実のななかまど   和知喜八
      

  山松のあらしのなかにもゆる火のほのほふきあがる七かまどの葉
                       太田水穂
  ななかまど葉も実も朱く色づきて岩手花巻秋雨の降る
                       中西輝磨
  ナナカマド燃ゆる並木を行きたりし癌と自ら知る父に添ひ
                       清原日出夫
  神掛けて実も葉も赤き七竃心を見せむやまとことのは
                       石井辰彦