雷のうた(2/5)
雷は周知のように、雲と雲との間、あるいは雲と地上との間の放電によって,光と音を発生する自然現象のことだが、音の伝わる速度は、毎秒約340mなので、稲光から雷鳴までの時間により、雷の遠近を知ることができる。落雷を避ける時の重要な目安になる。
雷の音雲のなかにてとどろきをり殺生石にあゆみ近づく
太田水穂
伊予紋(いよもん)の中二階(ちゆうにかい)にて聴くときは
遠いいかづちもなまめかしけれ 吉井 勇
つんざきて雷(らい)鳴りわたる中空にひとつの迷ひ切り
捨てんとす 長沢美津
夏の雷すぎてしづくす無花果(いちじく)の若き実とわが犬
の耳毛と 斎藤 史
炎熱に五体くづほれ居りし時高空揺りて雷のとどろく
山本寛太
加賀の国の初夏雷鳴はきびしくて柿の若木の下ふりのこす
中野菊夫