天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

湯河原・万葉公園(2)

万葉公園内の渓流

 独歩の湯には、九種類の足湯がある。足湯しかない。300円の料金が必要。温泉に体ごと入浴するには、すぐ近くにある町営の「こごめの湯」に行けばよい。千円が必要。渓流を散策し、初めて足湯に入った思いを詠ってみた。


     黒潮の潮目きはだつ師走かな
     朝光にゆらりと落つる枯葉かな
     足湯して枯木の空を見上げをり
     冬麗の樟高き空足湯せり
     大桶の湯があふれ出す芒かな


  街川の土手につくれる大根の青き葉むれに朝の日が差す     
  万葉の湯に浸らむと湯河原の落合橋にバスを下りたり
  万葉の土肥の出湯をなつかしみ紅葉狩りゆく渓流の道
  水落ちて白き泡たつ青淀にもみぢ散るなり渓流の朝
  効能のひとつひとつを確かめて次々に入る足湯なりけり
  「平静の泉」に先ずは足ひたしあたり見まはす心穏やか
  左目の白内障に効くらむか「肝目の泉」足湯にひたる
  便秘にも花粉症にも効くといふ「腸鼻の泉」足裏(あうら)に痛き
  湯の石に足裏(あうら)のつぼを刺激して肌若返る「皮口の泉」
  年の瀬にやさしき気持とり戻せわが足浸す「思考の泉」
  高血圧、動脈硬化、胃の病ひそれぞれに効く「脈胃の泉」
  「喜(よろこび)の泉」に足をひたしたる老も若きも笑みこぼれたり
  頻尿になやめる吾が足ひたし効能ねがふ「腎耳の泉」
  内分泌、代謝異常の吾妹子(わぎもこ)に足湯させたき「脾骨の泉」
  八百年越えて立ちたる樟の木のま洞にあはれ石仏祀る
  はしごせし足湯の効き目あらはれてその一日はほかほかとせり