天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

寒桜

熱海糸川にて

 ヤマザクラの一変種。寒緋桜と山桜の雑種らしい。花期が通常の桜より二カ月くらい早く、一月下旬には咲く。

  
    影のごと人きて佇てり寒桜     藤崎久を
    島の血を継ぎし荒眉寒ざくら    中尾杏子
    うすうすと島を鋤くなり寒桜    飴山 實


寒桜をはりの花のさかりにて鳥が嘴(は)みおとす一ふさの花
                    五島 茂
寒桜ひらきてさむき空の下我を呼ぶ声の谺消えずも
                    石川不二子
人あらぬ寺域のはづれくれなゐの緋寒ざくらに空明りつつ
                    春日真木子