早春の湘南海岸
三寒四温の言葉通り、気象は春に近づいている。湘南海岸では、サーフィンやビーチバレーに興ずる若者たちの数が増えてきた。浜に坐って見ていると眠気を催す。
知らぬ間に水面膨らむ春の潮
目裏を日が射す春の潮だまり
鶺鴒の啼きては若布つひばめる
浚渫の泥は春日に光り垂る
わだつみの洞春潮のとどろける
浜に沿ひ波の白蛇走りたり弓手よりきて岬に消ゆる
腰越の港整備かクレーン二基音とどろける小動(こゆるぎ)岬
蝋燭のかたちなしたる燈台は島の岬に今宵も点る
満ち潮の寄る岩礁にひとり釣る迎への舟はいまだ見えざり
釣船の水脈うち寄する岩礁にわがひとり立つ春の江ノ島
わだつみの風の冷たき砂浜にビーチバレーのボール打つ音
砂浜のごみ梳きてゆくトラクターの音はこびくるわたつみの風
わたつみの波高まればサーファらボードに立ちて岸近く來る
をさな児の兄妹が砂浜に穴掘りあそぶ春のわたつみ
砂浜の潮の浅瀬に忙しく小魚を追ふ春の白鷺
鵠沼の松の林に住む人が庭に咲かせる極楽鳥花
大根の輪切と鯖のぶつ切と味噌煮にしたり独り酌む午後