天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

早春の湘南海岸

鵠沼海岸にて

 三寒四温の言葉通り、気象は春に近づいている。湘南海岸では、サーフィンやビーチバレーに興ずる若者たちの数が増えてきた。浜に坐って見ていると眠気を催す。


     知らぬ間に水面膨らむ春の潮
     目裏を日が射す春の潮だまり
     鶺鴒の啼きては若布つひばめる
     浚渫の泥は春日に光り垂る
     わだつみの洞春潮のとどろける
     
  浜に沿ひ波の白蛇走りたり弓手よりきて岬に消ゆる
  腰越の港整備かクレーン二基音とどろける小動(こゆるぎ)岬
  蝋燭のかたちなしたる燈台は島の岬に今宵も点る
  満ち潮の寄る岩礁にひとり釣る迎への舟はいまだ見えざり
  釣船の水脈うち寄する岩礁にわがひとり立つ春の江ノ島
  わだつみの風の冷たき砂浜にビーチバレーのボール打つ音
  砂浜のごみ梳きてゆくトラクターの音はこびくるわたつみの風
  わたつみの波高まればサーファらボードに立ちて岸近く來る
  をさな児の兄妹が砂浜に穴掘りあそぶ春のわたつみ
  砂浜の潮の浅瀬に忙しく小魚を追ふ春の白鷺
  鵠沼の松の林に住む人が庭に咲かせる極楽鳥花
  大根の輪切と鯖のぶつ切と味噌煮にしたり独り酌む午後