天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

春の潮騒

鎌倉・七里ガ浜

 夜の激しい雨を伴った春の嵐が過ぎ去って晴れ渡った翌日、鎌倉は腰越の浜にぼんやり坐っていた。


      腰越や春の嵐のなごり波
      をさな児が犬に引かるる春の潮
      活魚割く腰越通り初つばめ


  鳶三羽縦にならびて沖を見る片瀬の浜の春の潮騒
  海つばめ岩場にとまり囀れる声まぎれなし春の潮騒
  干し終へし若布かをれる腰越の砂浜駈くるセグロセキレイ
  青空に鳶たか啼きて見下せるこゆるぎ岬春の潮騒
  カイツブリ濁れる水を浴びゐたり春の嵐のすぎ去りし川