天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

春潮(3)

江ノ島にて

 春のゆったりした気分に潮の音は快い。ただ早春の潮は荒々しい面が残る。特に春一番春の嵐の頃は勇壮な光景が見られる。



  夕鳥の翔(と)び立ちゆきし多々良浜ゆたにたゆたに寄する
  春潮(はるしほ)           山埜井喜美枝


  髪梳(す)けるちからこもりてひたぶるに春の潮(うしほ)を
  ひきしぼるなり             雨宮雅子


  西海のはてなる島にわが来たり渚に立てば碧(あを)し春潮
                      来嶋靖夫
  みづあさぎに凪ぎし春潮見はるかす岬に立ちて思ふ人ある
                     春日井建
  春潮(はるしほ)をはるかに思へばおほははもははもむすめも
  とはにをとめ子            藤井常世


  会うために梳きている髪あらあらと輝(て)りて春浅き潮の匂い
                    道浦母都子