天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

湘南海岸の秋

片瀬腰越

 鵠沼海岸や片瀬海岸では、海の家はすっかり取り払われて、海水浴シーズンの名残も見当らない。広々とした眺望である。曇りの日は、すでに冬の景色。


     萩の花建仁寺垣を越えて垂る
     蜂を呼ぶ背高泡立草の花
     土牢は御霊窟なり菊の花
     狛犬のほおかむりせる岬かな


  干上がりて砂浜に身をさらしたる貝の腐肉をカラスつひばむ
  サーファの波まつ沖に届かざり鱚釣人の投ぐる釣糸
  砂浜は夏のにぎはひ消え失せて潮騒たかし秋ふかみかも
  うち寄せし藻屑ごみ屑かき集め砂浜ならす朝、清掃車
  折り返し浜を往き来す清掃車片瀬の浜は広々とせり
  縄張をあらそふらしき鶺鴒がひるがへり鳴く腰越の浜
  江ノ電の警笛鳴れば皆避くる干物あきなふ腰越通り