梅の花
梅は、バラ科の落葉高木。中国原産で、上代に渡来。「むめ」「んめ」などとも発音した。万葉集には119首に詠まれている。その後の古典和歌にも数多く詠まれた。中でも菅原道真の歌は、教科書にも載っていて、あまりにも有名。
春もややけしきととのふ月と梅 芭蕉
蒟蒻のさしみもすこし梅の花 芭蕉
春さればまづ咲く宿の梅の花ひとり見つつや春日暮さむ
万葉集・山上憶良
わが園に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも
大伴旅人
君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をもしる人ぞしる
紀 友則
東風吹かばにほひおこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな
菅原道真
にほひをば衣にとめつ梅の花ゆくへも知らぬ春風のいろ
式子内親王
なかなかに四方ににほへる梅の花たづねぞわぶる夜半の木のもと
藤原定家
あるがまま思いのままに老い長けしひともとの梅さむざむと開く
多 久麻
この山もあの山も眠り給ふかな佛みし目に梅しろく咲く
辺見じゅん