天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

早春賦―横浜三渓園―

初音茶屋

 今年の観梅会は、2月11日から3月6日まで。土、日にはいくつかのイベントが催される。初音茶屋では、地面に切った囲炉裏で茶釜をかけて麦茶を煮ていた。それを囲んで熱い麦茶を御馳走になった。芥川龍之介大正4年の初秋、ここでの印象を次の俳句に詠んだ。
     ひとはかりうく香煎や白湯の秋


 初音茶屋の右手には臥竜梅がある。このあたりの梅の木は、下村観山「弱法師」のモデルになった。なお、原三溪が存命中は、新進芸術家の育成と支援の場ともなり、下村観山のほかにも前田青邨の「御輿振り」、横山大観の「柳蔭」など近代日本画を代表する多くの作品が園内で生まれた。三溪園は、太平洋戦争の戦災により大きな被害をうけたが、昭和28年、原家から横浜市に譲渡・寄贈された。


     白梅の影くきやかに茶筅
     白梅に紅梅の添ふ横笛庵
     臥竜梅見て熱き茶の初音茶屋


  芥川、タゴールなどもたち寄りし初音茶屋かも茶釜みてゐる