天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

アマリリス

居間に置くアマリリス

 彼岸花科ヒッペアストラム属の多年草で、熱帯アメリカ原産。5月から6月に、大輪のラッパ状の花が横向きに開く。花の色には、白、赤、橙 などがある。


  あまりりす息もふかげに燃ゆるときふと唇はさしあてしかな
                        北原白秋
  紅の花アマリリス咲き残る地(つち)もせつなしたたかひやみぬ
                        木俣 修
  アマリリスの莟全き白さ持ち夜に移行して咲く気配なる
                        相野谷森次


 わが家の鉢植えのアマリリスは、10年以上生きている。初め一個の球根だったのが、株分けして今2鉢になっている。5月になると、みるみる茎が伸び莟が膨らみ、次々に大輪の花が開く。


     朝の日にゑらくかに咲くアマリリス
     一鉢に七つ花咲くアマリリス
     暁の地震おそるべしアマリリス


  養分(カンフル)を刺す鉢植のアマリリス日ごとに高く茎のばしたり
  株分けて増えしわが家のアマリリス居間、寝室に花ひらきたり
  マリリスつぼみの先は夜更けて見つむるほどにほどけゆきたり
  「幸福の木」の横に置くアマリリスつぼみ三つと花二輪あり
  ねころびてテレビ見てゐる足元にわが鉢植のアマリリス咲く
  茎のびて莟ふくらむアマリリス テレビ見る間に花ひらきたり
  窓ゆくる朝の光にアマリリスゑらくがごとく咲きにほふなり
  思ひきり咲きそり返るアマリリスそののちしぼみ額を垂れたり
  三度目の株分けをせむアマリリス今年最後の花枯れしのち
  後ずさる尻に押されてアマリリス花はつぶれず茎が折れたり