天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

新春の鎌倉

鎌倉鶴岡八幡宮にて

 鶴ケ岡八幡宮のぼたん園には、驚くほど多くの冬牡丹が咲いている。様々な名前がつけられている。源氏池の中の島には、橋がかけられていたが、中の島の草木を刈るためだったのだろうか。多くの水鳥が憩っていたのだが、今日は全く見かけない。
 円覚寺の庭の梅はほとんどが未だ固い莟の状態で、花が咲くのは2月に入ってからだろう。蝋梅や水仙の花は今が盛りである。万作の花は時期を過ぎたようだ。禅道場「居士林」の横の庭に垂れている佛手柑は何度見ても薄気味悪い。


     照り翳り色さまざまの冬牡丹
     花に顔ならべて撮るや牡丹園
     池の辺に鴨のこゑ聞く牡丹園
     垣根越し梅の花咲く狭庭かな
     万作の花のちぢれのめでたさよ
     草庵の障子ふくらむ朝日かな
     毘闍補羅迦(びじやふらか)佛手柑が垂る円覚寺


  初春のプラットフォームの屋根裏に鳩生まれたり
  こゑの哀しき


  車中にはスマホ、ケイタイ、i-パッドどれかを誰かが
  見つつ操作す


  三カ所に客を待ちゐる人力車小町通りに春の日が差す
  隧道を出づれば春の光満つ鎌倉街道巨福呂坂
  つぼみ皆固きがなかにただ一輪風に吹かるる白梅の花
  朝日さす根方にありて蝋梅とかをり競へる水仙の花
  万両と千両の実を見比べて頬に冷たき朝の春風
  草庵の障子にさせる朝光をはぢきて咲ける万作の花
  梅の花咲く庭の片隅にうす気味悪き佛手柑が垂る