天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

浜昼顔

鵠沼海岸にて

 海岸の砂地に群生するヒルガオヒルガオ属の多年草。蔓のように茎が砂丘を這う。北海道から琉球まで分布する。


  浜昼顔咲きてききゐる汐鳴りのかなた原油の流されし海
                    苔口万寿子
  ひとつひとつ花仰向けてあかねさす日を留めて咲く
  浜ひるがほは            大塚布見子
                    

 ちなみに、五木ひろしのシングルに「浜昼顔」があるが、これは、作詩・寺山修司、作曲・古賀政男。三番目の歌詞に「ひとり旅立つ思い出に 旅行鞄につめてきた 浜昼顔よいつまでも 枯れるなぼくの愛の花 愛の花」と、浜昼顔が出て来る。旅行鞄にこの花をつめて持ち歩くとは、なんと切ない姿であろう。人妻との恋を断ち切って旅立つという内容の歌であった。いかにも寺山修司らしい発想ではある。