天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ハマナス

ハマナスの実(江ノ島にて)

 漢字で、浜茄子、浜梨、玫瑰、浜薔薇などと書く。バラ科バラ属の落葉低木。根は染料などに、花はお茶などに、果実はローズヒップとして食用になるという。ビタミンCが豊富に含まれる。天狗巣病にかかると枯れる。北海道の紋別町では、対策を検討している、とのニュースがあった。


     はまなす親潮と知る海のいろ   及川 貞
     はまなすや今も沖には未来あり  中村草田男


  潮かをる北の浜辺の砂山のかの浜薔薇よ今年も
  咲けるや             石川啄木


  はまなすの紅のかなしき花びらよ一日咲き二日
  咲き三日保たず          柴生田稔


  オホーツクの潮とどろく草丘にすがれんとして
  赤きはまなす           宮 柊二


  日本海へそそぐ岸よりながしやる精霊舟の浜茄子
  の数珠              中川 昭


謡曲では、森繁久弥が作詩・作曲した「知床旅情」の一番の歌詞が、印象深い。この歌碑が羅臼町の海に面した「しおかぜ公園」に立っている。羅臼町に泊った朝の散歩で見かけた時、ひとしお懐かしさを覚えたものである。


   知床の岬に はまなすの咲くころ 思い出しておくれ
   俺たちの事を 飲んで騒いで 丘にのぼれば
   はるかクナシリに 白夜は明ける