天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

神奈川県高座郡寒川町にて

 バラ科ナシ属の落葉高木の総称。日本の梨は、野生種(ヤマナシ)を古くから改良してつくられたもの。西洋梨やシナナシは明治期に導入された。


     うつすらと梨の青みや袋紙     長谷川櫂
     道元のつむりに似たる梨一つ    長谷川櫂


  露霜の寒き夕の秋風にもみちにけりも妻梨の木は
               万葉集・作者未詳
  はむと富士にむかひてひらきたるわが口を吹く
  初秋の風             前田夕暮


  こほろぎのしとどに鳴ける真夜中に喰ふ梨の実の
  つゆは垂りつつ          若山牧水


  男なる鬱を抱きて帰り来つ梨むく妻へ梨食ふ子らへ
                   高野公彦