天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

初冬の宮ケ瀬

宮ケ瀬ダム

 数年ぶりに宮ケ瀬湖を訪ねた。これは相模川水系の中津川に建設されたダムによってできた人工湖である。周囲をめぐる道路やいくつもの橋梁はみごとなもの。吊橋や公園の木々には、師走のイルミネーションに向けて、電飾の準備が進められていた。


  冬立ちて風の冷たき湖(うみ)の辺にひとり佇みもの思はめや
  清川の山里ふかくわがくれば野辺路さやけき皇帝ダリア
  たたなはる山に囲まれ宮ケ瀬のダム青白き冬に入りたり
  湖の巌に立ちてはばたける川鵜は冬の朝日をあぶる
  しろがねの芒かがよふ宮ケ瀬の湖畔にたちて仰ぐ吊橋
  見渡せば湖の辺の枯れ芒冬の朝陽にゆれてかがよふ
  出港の時いたれりと客をよぶハンドマイクは霜月のこゑ
  湖に冬の朝日の差し込みて青白き水に真鯉あぎとふ
  青白き水面にうつる紅葉を見る客四人遊覧船は
  朝の日に羽根かがやきて飛び立つは湖にねむりし水鳥のむれ
  日に照れるぬるでかへるで紅葉の湖畔を見つつわが船はゆく
 

[参考]宮ケ瀬ダム              Wikipediaより
1969年よ予備調査が開始され、1971年から特定多目的ダム事業として
スタートした。堤高156.0mの重力式コンクリートダム、総貯水容量
約2億トンという首都圏最大のダム計画は、難航する補償交渉を経て
計画発表から29年後の2000年12月に完成した。総事業費は3,970億円。
日本では最大級のダム事業であった。