天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鑑賞の文学 ―俳句篇(22)―

文芸同人誌「白雲」

     還暦てふやや重きもの初日記    岡本多可志『白雲』


 作者の岡本多可志さんは、今は解散した俳句結社「木語」生え抜きの俳人である。と同時に、文芸同人誌「白雲」の代表として詩や小説にも力量を発揮されている。「木語」に途中から入会した私は後輩になる。なお、岡本さんにはいくつかのペンネームがある。俳句では岡本多可志、詩では若戸 清、小説では山本道夫 など。
 「木語」解散以来、久しぶりに岡本さんから電話があり、後日、第三句集となる『白雲』と同人誌「白雲 33号、2012年新春」を送って頂いた。同人誌には、詩、短歌、俳句、随筆、小説などが掲載されている。
 以下では、句集『白雲』から新春の句と機知に富んだ作品を春の章からいくつか挙げておく。

     打たれたし浴びたし日矢の初明り
     四日はや散らかりをりし書斎かな
     春節をどう歩かうか中華街
     幼子のペンギン歩き土筆摘む
     ポスターの顔しやべりだす四月かな
     雪を出て雪を見ている土筆かな