天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

枇杷

近所の家の庭に

 バラ科の常緑果樹。古くから日本の南部に野生していたらしい。堅い木は木刀に、葉は鎮咳・去痰薬、入浴剤になる。果実は生食の他、缶詰にする。


     枇杷買ひて夜の深さに枇杷匂ふ   中村汀女
     やはらかな紙につつまれ枇杷のあり 篠原 梵
     口中にふくらむばかり枇杷の種   右城暮石


  枇杷の木にみじかき梯子かかれどもとるとはかけじ
  いまだ青きに              長塚 節


  しめやかに雨過ぎしかば市の灯はみながら涼し枇杷
  うづたかし               長塚 節


  大き枇杷もぎておとせば吾弟(わおと)らが麦藁帽に
  うけてけるかな             北原白秋


  枇杷の実の黄にいろづきし窓外の一木をりをり風に
  もまるる               佐藤佐太郎


     枇杷の実の熟れて鬱ある葉蔭かな