天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

百合

鎌倉の山中にて

 ユリ科ユリ属の総称。北半球の温帯を中心に100種ほど生育する。うち日本には15種が自生する。次の4種類に大別される。
 テッポウユリ類: テッポウユリ、ササユリなど
 ヤマユリ類: ヤマユリなど
 スカシユリ類: スカシユリ、ヒメユリなど
 カノコユリ類: カノコユリオニユリクルマユリ
         タケシマユリなど
百合の語源は「揺り」にあるという。風に大きく揺れる印象的な姿から名づけられたのだろう。


     灯ともせば傾く如し瓶の百合    佐藤紅緑
     起ち上る風の百合あり草の中    松本たかし
     仏壇の中の暗きに百合ひらく    菖蒲あや
     百合ひらき甲斐駒ケ岳目をさます  福田甲子雄


  夏の野の繁みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものそ
               万葉集大伴坂上郎女
  雲雀たつあら野にあふる姫ゆりのなににつくともなき心かな
                       西行
  雄蕊なき優しさ雌蘂なき清さしずまりて白し薄暮の百合は
                      岡 智江
  百合をうかべたのはわたし みずうみに張りついている
  空傷つける              江戸 雪


  謙作のその日のままに幽翠の亀山公園 鬼百合に風
                    久留原昌宏
  饒舌の罪に裂かれし朱の舌鬼百合が祝ぐわが誕生日
                    木村光子