天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

梨(2)

わが食卓より

 昭和三十年代になって、甘味の強い新水、幸水豊水などが栽培の主流になった。近現代の俳句、短歌に詠まれた例もあげておく。


     通夜の梨さくさく噛んで人少な 上村占魚
     長十郎この重たさが友の情   中嶋秀子
     梨狩の抱いてもらひし子供かな 細川加賀


  梨の実の二十世紀といふあはれわが余生さへそのうちにあり
                    佐藤佐太郎
  梨の実のうちがはに白き風たちてはろばろと闇に入りゆきし人
                    高野公彦
  雨やんで虹がうまれたその下にごろんごろんと梨の実熟れる
                    青柳守音