天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

湯河原・万葉公園(1)

万葉公園の入口にて

 JR湯河原駅から不動瀧、奥湯河原、元箱根 方面行きのバスに乗り、落合橋で下車。万葉公園は、落合橋を渡った千歳川沿いの緑地公園をさす。万葉公園と名づけられた由縁は、万葉集で出湯を詠った唯一の次の歌からきているという。


  足柄の土肥の河内に出づる湯の世にもたよらに
  子ろが言はなくに


 佐々木信綱は、この歌が湯河原の温泉を詠んだものと考証した。万葉公園の名付け親が佐々木信綱なのである。公園の入口に石碑が立っている。ここから「文学の小径」という散策路が続く。それに沿ってこの地に縁のある短歌、俳句、漢詩などを掲示した木の板が配置されている。行きどまりが「独歩の湯」である。
 ここにきたのは一年ぶりになるか。以前には、この上方の不動瀧にも行ったし、宿泊したこともある。今回は紅葉を見に来た。横浜市内からなので簡単に日帰りですむ。


     黄葉を見上げてまぶし朱塗り橋


  大いなる桶をあふるる出湯なれ湯かけ地蔵は冬の日に笑む
  赤や黄のもみぢを仰ぎ谷川のせせらぎを聞く木洩れ日の道
  湯河原の湯に親しみし文人の句歌並び立つ万葉公園
  奥山の出湯あつむる谷川の水はせせらぐもみぢ明りに