天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

新春詠(3)

鎌倉・鶴岡八幡宮

 鎌倉の鶴丘八幡宮は、正月松の内までは、参拝客で混み合う。ただ少し朝早めに出かければ、悠々と参拝できる。仕事始めの四日は、午後一時から手斧始神事がとり行われる。鎌倉全体の工事始めという意味を込めているらしい。まだ見たことがない。五日は、午前十時から除魔神事が催される。これは以前に見た。下拝殿での祭儀の後、西側で装束に身を包んだ射手が大的を射る。八幡宮の説明によると、神事に用いられる的は直径約156cmであり、この大的の裏に「鬼」という文字を封じ込めて27mの距離から矢を射込む。その所作は古式に則っているという。
 近くの荏柄天神社は、菅原道真を祀り、これからの時期は合格祈願に訪れる人でにぎわう。正月初めでは、梅は蕾さえ出ていない。


     小寒の朝日に蔭る絵筆塚
     小寒や合格祈願の絵馬あまた
     小寒や厄割る音のひびかへる


  正月の朝日きらめく池の面に黒くかげろふ水鳥の群
  正月の八幡宮のめでたさに屋台がならぶ流鏑馬の馬場
  校庭の隅に置かれて年ふりぬ見る人もなき百葉箱は
  盃を厄割り石に投げつけて割れざる時は心残りぬ
  正月の参拝客をひきつれて若宮大路を旗かかげくる
  線虫を身内に飼ふを薦めたり長寿うながすFOXO
  (フォクソ)遺伝子


  アバターは人の知識の集大成機械がつくる人の分身
  冬眠をつかさどるとふ遺伝子に死より生還の希望を託す