天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雪達磨

俣野別邸庭園にて

 雪を大小二つ丸めてころがし、胴体部の上に頭部を載せ目や鼻として炭をくっつける。ただ最近では炭が手近にないために、目鼻が曖昧なものもある。公園や校庭でよく見かける。
 俳句の傍題には、雪兎、雪釣 がある。雪兎は盆の上に雪で兎の形を作ったもので、赤い実の目、青い笹の葉の耳がかわいい。雪釣は紐の先に木炭をぶら下げ、雪を付着させて塊を大きくしていくもの。


     雪だるま星のおしやべりぺちやくちやと  松本たかし
     昏れてをり面潰えし雪だるま       山田みづえ
     村の灯のことごとく消え雪達磨       木内彰志
     朱の盆に載せて丹波の雪うさぎ       草間時彦
     青髭の松葉貰ひし雪兎           門馬圭子


  この雪にわが行かむ道はるかなり停車場の前の大き雪達磨
                      古泉千樫
  とたん屋と靴屋のあひの雪だるまコールタールの目鼻つけゐる
                     稲森宗太郎
  交通の麻痺のニュースをよそごとに雪のだるまが道に賑はふ
                      星野丑三
  むく犬がさびしき目して我を見る雪だるまむかし炭の目持てり
                      原田汀子
  キウイの目の雪のだるまのほとほとと顔から失せてゆける街かど
                      三浦槙子
  君が妻を抱く夕べかな軒先に溶けきれないでいる雪だるま
                      俵 万智