天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紫陽花の歌(2)

鎌倉・長谷にて

 アジサイには毒があるという。それも青酸カリと同類というから恐ろしい。過去に料理の飾りにつけた紫陽花の葉を食べて食中毒になった事例がある。厚労省が注意を喚起したので、まさか料理についていることはないと思うが、くれぐれも注意したい。


  一生を否一日を捨て得ねば鬱の花とぞおもふ紫陽花
                   伊藤一彦
  去りてゆくもの去らしめてあぢさゐのかたはら軽く
  なりし身をおく          大塚陽子


  あぢさゐの藍遠々にけぶりつつ日本列島梅雨ふけわたる
                   長澤一作
  青靄の夕空ありし断崖(きりぎし)に蝋のごと咲きゐる
  秋のあぢさゐ           河野愛子


  乾きゆく枯れ紫陽花の淡青(たんじやう)を冬の愁ひと
  いはばいふべし         尾崎左永子