天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

筑波山(1)

NHK-BSテレビの映像から

 2009年8月13日のブログに次いでとり上げる。あらためて採番して、重複しないようにできるだけ多くの歌をとりあげよう。古くは「つくはね」「つくは(の)やま」と言った。万葉集について見ると、「つくは(の)やま」とした歌は六首。「つくはね」とした歌が十五首で一番多い。


  筑波嶺を外(よそ)のみ見つつありかねて雪消(げ)の道を
  なづみ来(け)るかも       万葉集・丹比国人


  筑波嶺に雪かも降らる否をかもかなしき児ろが布乾(ほ)さるかも
                    万葉集・東歌
  吾が面(もて)の忘れも時(しだ)は筑波嶺をふり放(さ)け
  見つつ妹はしぬはね       万葉集・占部小竜


  筑波嶺の木のもとごとに立ちぞ寄る春のみ山の蔭をこひつつ
                  古今集・宮道潔興
  今はてふ心つくばのやま見ればこずゑよりこそ色かはりけれ
                   後撰集・読人しらず
  おとに聞く人に心をつくばねのみねど恋しき君にもあるかな
                   拾遺集・読人しらず