筑波山は恋の象徴として多く詠まれたが、一方で主君の恩徳を賛美する歌も詠まれた。また表現上では、語呂合わせや掛詞も目立つ。
筑波山端山繁山しげけれど思ひ入るにはさはらざりけり
新古今集・源重之
筑波山木がくれおほき月よりもしげき人めはもるかた
もなし 続古今集・藤原基家
暮れぬともいざ越えゆかむ筑波嶺のこのもかのもに
かかる月影 藤原家隆
筑波山つくづくものを思ふにはなげきの数ぞおひまさり
ける 別田千頴
筑波山つくづく物を思ふかな君を見ざらむほどの心地を
清原元輔
筑波嶺のこのもかのもをたづねつつ山のかひある花を
こそ見れ 藤原教長
筑波嶺の繁き木の間の蔭はあれど秋には変る夏の夜の月
順徳院