天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

筑波山(2)

NHK-BSテレビの映像から

 筑波山は恋の象徴として多く詠まれたが、一方で主君の恩徳を賛美する歌も詠まれた。また表現上では、語呂合わせや掛詞も目立つ。


  筑波山端山繁山しげけれど思ひ入るにはさはらざりけり
                新古今集源重之
  筑波山木がくれおほき月よりもしげき人めはもるかた
  もなし          続古今集・藤原基家


  暮れぬともいざ越えゆかむ筑波嶺のこのもかのもに
  かかる月影             藤原家隆


  筑波山つくづくものを思ふにはなげきの数ぞおひまさり
  ける                別田千頴


  筑波山つくづく物を思ふかな君を見ざらむほどの心地を
                    清原元輔
  筑波嶺のこのもかのもをたづねつつ山のかひある花を
  こそ見れ              藤原教長


  筑波嶺の繁き木の間の蔭はあれど秋には変る夏の夜の月
                     順徳院