天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

歌まくらー西行の場合(7/7)

葛城山奈良県の大和・河内国境の連山。主峰は金剛山

  かづらきやまさきの色は秋に似て余所(よそ)のこずゑは緑なるかな

 *まさき: ニシキギニシキギ属の常緑低木。

吉野山奈良県吉野郡吉野地方の山地。

  吉野山やがて出でじと思ふ身を花散りなばと人や待つらむ

竜田川奈良県生駒山地の東側を南流し、斑鳩町大和川に合流。紅葉の名所。

  竜田川岸のまがきを見わたせばゐせきの浪にまがふ卯の花

 *ゐせき: 堰(流れを制御するために河川、水路などを横断してつくられる

  構造物。)

生駒山奈良県生駒市生駒郡大阪府東大阪市との境の山。交通の要路。

  秋篠や外山の里やしぐるらむ生駒の嶽に雲のかかれる

[糸鹿]奈良県有田市糸我町の南の山。

  いとか山しぐれに色をそめさせてかつがつおれるにしきなりけり

 *かつがつ: どうにかこうにか成り立つさま、

[み熊野]和歌山県熊野川流域と熊野灘に面する一帯の地。修験道霊場

  み熊野の浜木綿おふるうらさびて人なみなみに年ぞ重なる

[細谷川]岡山県岡山市高松の吉備津神社の境内を流れる。

  我が恋は細谷川の水なれやすゑにくははる音聞ゆなり

 

竜田川