天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

石蕗

横浜市俣野別邸庭園にて

 「つわ」「つわぶき」と読む。近所の公園や山路を歩くと、石蕗の黄色の花が目立つ。今までに3回ほど取り上げたが、以下にはそれら以外の作品をあげる。俳句では多く詠まれているが、ここでは山口誓子の石蕗全句を見ておく。


     つはぶきの終日陰を出でずして    山口誓子
     虻よんで倦むこと知らず石蕗の花
     信心の山路膝行石蕗の花
     石蕗黄なり燈台の子の椅子机
     石蕗の黄の専横薩摩では許す


  妻の死にかかわりのなく日は照りてつわぶきの黄の庭に華やぐ
                      柳井喜一郎
  水昏れて石蕗の黄も昏れゆけり誰よりもこの女(ひと)のかたはら
                       木村草弥
  金婚ののちも日のありつはぶきの群がれる葉に黄の花立ちて
                       竹山 広