天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

新春詠(5)

北鎌倉東慶寺にて

 残雪の情景を見ようと、今年はじめて北鎌倉の円覚寺東慶寺にいった。雪はおおかた解け始めていたが、どちらの境内にも早や蝋梅が咲いて初春を演出するには十分であった。なお、臘梅は晩冬の季語である。


     雪被り絵馬あまた垂る天神社
     雪積むや呑龍地蔵大菩薩
     洪鐘(おほがね)の撞木朽ち初む垂(しづ)り雪
     山門の屋根の残雪帰源院
     初釜や雪の庭見る東慶寺
     大寒の朝日まぶしき車窓かな


  円覚寺龍隠庵の道のべは雪に照り咲く蝋梅の花
  山門に「頭上注意」の札立ちて屋根すべり落つ
  雪の塊


  朝の陽にかがやき増せり円覚寺弁天堂の屋根に
  積む雪


  あづさ弓春の朝日に雪解けて花をのこせる十月桜
  ひさかたの朝の光を身にうけて雪に匂へる蝋梅の花
  アーモンド食むたび思ふその粒のとれたる土地と
  収穫の手を