天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

箱根駅伝往路と富士

家の近所にて

 昨日2日は、箱根駅伝往路をテレビと東海道・鉄砲宿付近の路傍で見た。今年の5区(小田原から芦ノ湖まで)において、驚くべき新記録が出た。青山学院大学の小柄な神野が、今までの伝説的な柏原の記録をコース距離が伸びたにも関わらず、24秒も縮めたのである。(函嶺洞門の迂廻路が今年からコースに入って距離が20mばかり伸びた。)
 雪を冠った富士山が遠くの空にくっきりと見えたので、今年も富士を詠んだ和歌をとりあげる。ただし、過去にとりあげていない歌である。


  富士のねの絶えぬ思ひをするからに常盤に燃ゆる身とぞなりぬる
                        柿本人麻呂
  人しれず思ひするがのふじのねはわがごとやかく絶えず燃ゆらむ
                           伊勢
  富士の嶺にぬなれの雪のつもり来ておのれ時しる浮島がはら
                         藤原定家
  見わたせば雲居はるかに雪白し富士の高嶺のあけぼのの空
                          源実朝
  富士の嶺の月に嵐や拂ふらむ神だに消たぬ煙なれども
                        後鳥羽天皇
  駿河なる富士の高根はいかづちの音する雲の上にこそ見れ
                         賀茂真淵
  万国の博覧会にもち出せば一等賞を取らん不尽山
                         正岡子規


正月の富士を詠んだ俳句も二例を。
     元日や一系の天子富士の山         内藤鳴雪
     初空にうかみし富士の美まし国       高浜虚子