天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

町田ぼたん園

鯛釣り草(町田ぼたん園にて)

 町田ぼたん園は民権の森公園の一部。敷地は16,000平方メートルで、平成四年に開園。現在331種、1,730株のぼたんがある。芍薬も30種、400株がある。入園して少し歩いたところに「牡丹の由来と歴史」の説明板がある。そこからいくつかの事項を以下に紹介しよう。
 中国読みでは、「もうたん」。牡丹と芍薬は、ともにボタン科・ボタン属の植物で、木本性が牡丹、草本性が芍薬。木本性の牡丹の原種は、世界に三種しかないが、全て中国が原産地という。隋の時代に、園芸植物として栽培されるようになり、唐の時代から品種改良が進んだ。日本に渡来したのは、奈良・平安時代であった。江戸時代からは、わが国の美意識に添って品種改良が重ねられた。
 テレビで紹介されたこともあって、小田急線・町田駅から出るバスには、牡丹園に向かう人の長蛇の列ができていた。下車した薬師ガ丘のバス停からかなり歩く。園内には様々な牡丹の種類の花が咲いていた。同時に、芍薬もあり、藤棚の花が香っていた。


     テレビ見て人の集ふもぼたん園
     色も香も人の手になる牡丹かな
     ぼたん園鯛釣り草にしやがみこむ
     王妃の名女優の名ありぼたん園
     太陽のちからまぶしき牡丹かな
     自販機の水売り切れやぼたん園
     山藤のおどろに垂れて美しき


  山藤に気付きし女(ひと)は「お父さん、あれ見て、ほんとに
  きれい!」と言へり


  藤棚に藤の花の香たちこめて見上ぐる女(ひと)の顔青ざむる
  さまざまのぼたんの花に食傷し鯛釣り草の花に見とるる