天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

打ち水(2)

NHKのニュース映像から

 打ち水の文化は、日本独特の風情のように思えるが、中国や韓国でも見られるのであろうか。欧米には、家々で打ち水をする習慣は考えにくい。


  水打てば青鬼灯(あをほほづき)の袋にもしたたりぬらむ
  たそがれにけり            長塚 節


  水やり日にあて或(ある)はかげに入れて十鉢(とはち)の
  花に心つくすも            川田 順


  暑き日の夕ぐれどきに客ありて水撒く妻を庭に見にけり
                     半田良平
  水うちて涼しき庭のゆふまぐれ九谷大杯の骨酒(こつざけ)廻す
                    鹿児島寿蔵
  ほほづきに打水垂(た)りてゐる夕べ幼年は世を隔(へだ)つる
  ばかりに杳(とほ)し         上田三四二


  水打ちて水ほとばしる午過ぎにあわれきりもむごとき性欲
                     永田和宏