天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

白魚(2)

NHKテレビ「里山」の映像から

 白魚の踊り食いは、生きたまま食べること。日本各地の河川の多い地方でみられる料理法で、春の風物詩といえる。食べ方は、白魚を網杓子ですくい、酢醤油の入った小鉢に移し、それを吸い物を吸う要領で、胃の中に流し込む。


  七尾より春の白魚ともしきを商(あきなひ)に通る
  こゑの聞ゆる           岡部文夫


  さからはずげにもすなほに白魚や青菜などある
  日本の食             斎藤 史


  すみやかに過ぎゆく日々はわすれつつ白魚が風の
  やうにおいしい          塚本邦雄


  ひかり差す皿の白魚たばしれる水の雫の色なしにけり 
                   伊藤雅子
  改元のしづかなる夜黒き眼の白魚一寸のみくだしたり
                   雨宮雅子
  箸先に生きて身をそる白魚をのみこみし夜半ひとり
  するどし             松坂 弘


  白魚のひかりまがなし科(とが)ありて海に咲きたる
  さくらと思ふ           水原紫苑