白魚(1)
「しらうお」、「しろうお」と呼ぶ。紛らわしいことだが、シラウオ科の魚とハゼ科の魚とがある。前者は、全長10センチ。生きているときは、殆んど無色透明。後者は、全長5センチ。淡黄色で透明、うきぶくろが腹部に赤い点として見える。「いさざ」とも。俳句では、春の季語。
明ぼのやしら魚しろきこと一寸 芭蕉
鮎の子のしら魚送る別(わかれ)哉 芭蕉
白魚や黒き目を明(あ)く法(のり)の網 芭蕉
白魚のどつと生(うま)るるおぼろ哉 一茶
ふるひ寄せて白魚崩れんばかりなり 夏目漱石
白魚にすずしさの眼のありにけり 石橋秀野
白魚網微塵のひかり掬ひけり 中村石秋
白魚火見たるその夜の汽車に乗る 大峯あきら
ふるさとに港ありけり白魚汁 斎藤梅子