天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蜂の歌(1)

テレビ映像の画面から

 すでに2010年9月29日と今年の9月24日において取り上げているが、もっと多くの歌が詠まれているので、続きとしてあげていこう。


  食卓の紅茶に蜂が来て嘗むる息づき速き腹が見えつつ
                    高安国世
  秋日ざしの中に漂う蜂一つかそけき風に乗るとき迅し
                    高安国世
  くちなしいろに日の没るときも蜜袋にまだ溺れゐて蜂は
  光れり              生方たつゑ


  こぼれ来し蜂の巣の断片は紙よりも軽くてもろし秋の
  日の中               太田青丘


  雄蕊ふみて李(すもも)の雌蘂吸ひてをり翅(はね)やはらかき
  わが庭の蜂             伊藤 保


  金網(あみ)目より入り来し蜂は白百合の花粉を足にまとひて
  去りし               島 秋人


  晴天のこころ戀ほしさ蜂などの肢垂らし飛ぶかがやきを見き
                    森岡貞香