天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

凧揚げ(2/2)

葛飾北斎の浮世絵から

 凧の呼称は地域によって異なり、関東ではタコ、関西ではイカ、中国地方ではタツ、またはフウリュウ、九州の唐津ではタコ、長崎ではハタなどと呼ばれていた。ちなみに、韓国では「ヨン」、中国では「フンジュン」、マレーシアでは「ワウ」とそれぞれ呼ばれているという。



  竜となり虎(こ)となり師走の夜を吼ゆる大樹園の凧に
  戦(をのの)きにけり         岩田 正


  過ぎにしを言ふな思ふな凧高くうちあがりゆく今が永遠
                    伊藤一彦
  兄弟は仲よくあそび空に揚げし凧に喧嘩をさせているなり
                    浜田康敬
  どうしてもあがらぬ凧をさげてくる子と父かはししことばは
  知らず               今野寿美


  悲しむべきことなきごとき冬晴れよ凧と地上の人は引きあふ
                   横山未来子
  眼の中の塵と思へば空の果て凧は虚脱の浮力に舞へり
                    柴田典昭