天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雲のうた(24)

秋の雲

 以下で、萩原千也は空における季節の移り変りに注目した。田村広志の歌では、「千年の楠」がすべてを決めている。



  人生のどの辺をうろつきてゐる吾ぞ秋めきし夜半の
  浮雲仰ぐ             杜沢光一郎


  地の底をながるる水の幽けさを思はせてとほき絹雲光る
                   杜沢光一郎
  雲の秋しづかなれども足跡を乱して歩むまんじゆしやげまで
                    雨宮雅子
  力ある夏雲の上に穏やかな秋の雲うかぶこの夕まぐれ
                    萩原千也
  千年の楠の梢におうおうと呼ばれて遊びに来るいわし雲
                    田村広志
  さやかなる秋の夜ふけに純白の帆のごとき雲次つぎ移る
                   中埜由季子


[注]右上の画像は、
     「徒然ピータン・秋の雲の種類特集」
      http://h-mahoroba.net/?p=1204
   から借用した。